インターネットの成長の足跡には,常にネットスロープナビゲーターの影があった。だが最近,その影はずいぶんと後ろの方に遠ざかってしまった。これから先,ネットスケープはインターネットと歩調を合わせてくれるのだろうか。
ネットスケープがナビゲーターのソースコードを公開してからずいぶんと長い月日が経った。だが,その製品版が出されるような動きはまだみられない。期待と憧れとともに見られていたナビゲーターVer.5のレイアウトエンジン「ゲッコー」は,進化しているのだろうことがわかるが,まだ実際に我々の目の前でレイアウトをしてはいない。AOLに買収されてから急速に落ちたナビゲーターの開発速度を,歯がゆく思っている人は少なくないだろう。
僕が初めてインターネットに接続したとき,一番最初にインストールしたアプリケーションソフトはネットスケープナビゲーターのバージョン2だった。今よりも静かにまわる天空の星たちとNの文字が,違う世界へと連れていってくれた。遅い回線速度と,当時のマシンでは動作がとろかったナビゲーター。でも,その星がめくるめくたびに,いままでスタンドアローンだったマシンは大きな深呼吸と夢見ることを覚えた。それからずっと,僕はネットスケープを使い続けた。もう一つのブラウザのほうが,レイアウト能力が高いと言われても,それにはネットに繋がるときのわくわく感が欠けているような気がして,今のメインブラウザもネットスケープコミュニケーターのVer4.5だ。
ゲッコーの話を最初に聞いたときの期待は大きかった。肥大化しすぎたブラウザが,すべてを捨ててブラウジングを1からやり直すのは,誰が見ても正しい選択だった。ただ,ネットスケープにその後に続く茨の道。製品のこととは別に進んだ買収。フリーソースコードの改善は遅々として進まない。ナビゲーターの基礎を作った人間がナビゲーターを見捨てていく…。
でも,やっぱり僕はネットスケープを使い続けるだろう。使うたびに初めてワイヤードに入ったときの感触を思い出させてくれるから。あの時の興奮と感動を思い出させてくれるから。ウェブモンキーのライターもきっとあの日のことを覚えているんだろうな(^_^)。初めてネットスケープの星たちがまわりはじめた日を…。
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